普段めったに風邪をひかないんですが、今週はちょいと体調を崩してました。先週の演奏会の疲れかどうか知りませんが、38度超えの熱が3日ほど続きましてしんどい思いをしておりました。今回あたらめて思いましたけど、風邪に効く薬は風邪薬と違いますよ。一番効いたのは睡眠薬です。風邪を早く治すのはとにもかくにも温かくして寝るっちゅうこと。今回も水曜日の夕方から木曜日の朝にかけて13時間熟睡したら、一気に熱が下がって楽になりましたわ。金曜日の朝はまだ声もおかしかったんですが、夕方には普通の声でしゃべれるまでに回復しましたんで、何も予定のない今日の土曜日は朝から京都をぼらぼらしてみました。2014年の4回目の紅葉レポートは山科の毘沙門堂です。JR東海のCMにも使われててそれなりに有名ですが、アクセスがちょいと悪いせいか意外と混雑が少なく穴場スポットやと思います。来週、あるいは来年に観光で来られる方にはオススメの紅葉スポットです。 JR東海の「そうだ、京都、行こう」のCMでこんな風に使われてます。 こんなもんは絶対に朝一番に行かんとあきません。って思って7時30分に家を出ようとするとまさかの雨ですわ。天気予報で雨って聞いてへん。やむ気配もないんで翌日に延期しよかいなあとTVを見てたら、9時前に雨があがりました。気持ちを入れ替えて車で30分。毘沙門堂の駐車場に到着。 駅からは徒歩20分なんで満車やったらいややなあと思うたんですが、雨あがりのせいかそれほど混雑してません。駐車場は無料。良心的です。 小雨が降ってるせいでしょうな。観光客はそれほどいてません。京都市民は天気を見て来る来ないはあると思いますが、遠方からの観光客には天気は関係ありませんからね。毘沙門堂はもともと観光コースに入ってないってことやと思います。やっぱり穴場です。 境内に入りますと立派なしだれ桜があります。 紅葉が有名なお寺ですが、春はこの桜がきれいなんでしょうな。この右側に勅使門があります。なかなかええ風景でしょ。 勅使門から下を見た景色。 この階段。階段の一番下から門に向かってローアングルで撮影したのがさっきのJR東海のCMポスターです。このブログの最後に紹介します。ちなみにこの門の裏側というか表側はこうです。 しだれ桜の右側に本堂があります。こんな感じです。 ここから先は有料サイトです。この門をくぐると500円徴収されます。でもね、ここのスタッフは非常に親切丁寧でしたよ。どこのお寺やとは言いませんが、京都の有名なお寺は「拝観させたってる」みたいな態度のところが多いんですよ。まあ有名ですし黙ってても観光客来るし。その点この毘沙門堂さんは「ようこそお参りくださいました」って言うて1人1人に丁寧に対応してくれはります。 本堂に入りますと、ある程度の観光客の人数が集まったところで、若いお坊さんが20分くらいかけてちゃんと一緒についてガイドしてくれはるんです。本堂の建物の中は写真撮影が一切禁止でしたので写真はありません。建物の中以外の写真はOKですので、先に庭園のきれいな紅葉の写真をペタペタ貼ります。 さて話が前後しましたが、本堂でのお坊さんの話をざっくりと書きますとこうです。 毘沙門堂は天台宗の門跡寺院です。京都以外の方はもしかしたらご存知ないかも知れませんが、門跡寺院というのはもともと皇族とか貴族が引退して住職をつとめるお寺のことを言いまして、京都ではちょいと格が上のお寺と認識されてます。このガイドのお坊さんはわれわれ参拝者みんなが京都以外からの観光客やということを前提に解説してはりますので、この点をやたら強調してはりました。 「門前寺院というのは普通のお寺よりはワンランク格上のお寺なんです」 霊殿には「天井龍」があります。京都のお寺ではよくあります。ホームページの写真。こんなやつです。 「この龍の目は動きます」 ガイドのお坊さんはこんな大胆なことを言います。 「と、いいましても本当に絵が動くわけではありません。龍の目を見ながら移動すると目が動いて見えるのです」 まあ、京都のお寺にはこれはたくさんありますから別に驚きませんわな。京都のお寺やのうてもトリックアートでいっぱい見たことがあります。実際に龍の目を見ながら歩きましたけど、目が動いてると言われれば動いてるかなっていう程度。 次のお部屋に案内されますと、ガイドのお坊さんはこんなこと言います。 「ここには有名は“動くふすま絵”というものがあります」 龍の目の次は何が動くねんって思って聞いてますと、いろんなもんが動きますねん。鳥が動く、橋が動く、机は動く、老人の目が動く、あと何が動いたかなあ。ふすまの絵が逆遠近法といわれる画法で書かれてて、龍と一緒でそれを見ながら動くと動いて見えるそうな。ネットの写真にあるこれなんかは確かに動いて見えた。 でもこれ以外のふすま絵はそないに動いて見えませんでって呟きますと、「それは信心が足りませんなあ」って言われてしまいました。 さらに住職がお客さんと面会するいわば応接室みたいなところを紹介された後に、隣にある2つの部屋を紹介されます。この2つの部屋は両方とも住職に面会に来たお客さんの控え室なんですって。 1つ目の控え室のふすま絵には竹に雀がとまってる絵が書いてあります。これはよろしい。ガイドのお坊さんは言います。 「この竹に雀がとまってる絵をよう覚えておいてくださいね。ではこちらへ。」 こう言うて2つ目の控え室に案内してくれます。 「ここもお客さんの控え室ですが、さっきの控え室との違いがおわかりですか。」 ガイドのお坊さんはこう言います。どこが違うんやろうなあって見たのですが、簡単にはわかりません。ガイドのお坊さんはこの絵を見せてこう言います。 「このふすま絵の木は梅でとまっている鳥は山キジです。あちらのふすまの絵の木は竹でとまっている鳥はシマヒヨドリです。」 なるほど、ちょいと違和感ありますな。たいてい梅にはウグイスで、竹には雀ですわ。 「鳥が合ってないんです。鳥が合わない、とりあわない、つまりはこの部屋に通されたお客さんには住職は会わないということを意味してるんです。」 ガイドのお坊さんはこう説明してくれました。なるほどなあ。ここに通されたお客さんはこれに気がつかんかったらずっと放置されるんですなあ。ガイドのお坊さんはこう言うてはりました。 「今日、この中にもし京都にお住まいの方がいらっしゃたら失礼をお許しいただきたいのですが京都にはイケズという言葉がございまして・・・・」 やっぱり京都以外の観光客しかおらんことを前提にガイドしてはるんですな。でもまあ確かに京都は部外者に対してイケズなところはあります。 本堂を出るころにはすっかり雨はあがってます。本堂前の仁王門から一旦下に降ります。仁王門から階段下を撮ったところ。 この急な階段を下りたところを右に行きますと、さっき紹介しました勅使門に通じる階段があります。これがJR東海のCMポスターの階段。こんな感じで撮影しました。 JR東海の写真とはお天気が全然違いますから同じようには撮れません。またカメラの性能のせいかも知れませんが、ちょいと角度を変えて撮影しますと紅葉の色が変わりますね。 これらの写真は手をのばして高い位置から撮ってます。実は低い位置にはこうやって人がいっぱいいてはるんです。 みなさんJR東海と同じアングルで撮りたいんでしょうな。しかもこの階段は勅使門に通じる階段なんで、真ん中を普通に観光客が通ってもいいんです。ですので、この写真のように階段の途中に人がいてるんですが、わざわざ撮影しにきたカメラマンとしては、この階段の真ん中にいてる人は邪魔ですわなあ。でも仕方ないんで、みなさんじっとカメラを構えて人が誰もいなくなるのを待ってはるんです。 非常に心苦しかったんですが、私も勅使門の左奥に停めてある車に戻らないといけませんので「えらいすんまへん」って心の中いいながら、この階段の真ん中を歩いてあがっていきましたわ。 毘沙門堂、なかなか素敵でしょう。来週あるいは来年の京都紅葉観光のメニューにオススメのスポットです。
京の紅葉2014 第4章(毘沙門堂)
29 土曜日 11月 2014