昨日は午後から二条城に行ってきました。家から近いので、毎日と言っていいほどお城の前は通っているんですが、実際に中に入って見学したのはもう3年ほど前になります。回数としては過去に4~5回は行っとりますが、では何で突然行ってみようと思ったかといいますと、昨年末に受験した「京都検定」ですわ。
実は京都検定の合格者には「特典」がいろいろとあるんです。そりゃそうですわなあ。別に国家資格でもなんでもない、いわば遊びのイベントに受験料3000円以上も取られてるんですからね。合格して「おめでとさん」だけで済まされるのはあんまりです。一応、京都検定によって恩恵を受ける業界から「特典」が提供されます。
具体的には市内のホテルの宿泊料やレストランの割引とか、観光スポットの入場料の割引とかです。宿泊料は20%off、レストランは10%offです。結構ありがたいんですが、京都市内に住んでいるものとしては、宿泊で使うことはあまりないかも知れませんなあ。
で、その特典の中に「二条城の入場料が無料」というのがあったのを思い出したんです。2月末までという期限付きだったように記憶してたために、こりゃ今すぐ行かないともったいないと思ったんですわ。二条城は梅林も有名で、京都新聞の「梅だより」というところを見ますと「ちらほら咲き」と書いてありましたんで、お城の見学というよりは梅の花でも見てこよかいなあという気持ちで、12時前に自転車で家を出てふらっと二条城の見学に行ったというわけです。後で気がついたんですが、入城料無料の特典は3月末まででしたんで、あわてて行く必要なかったんですがね。
自転車に乗ること5分。二条城の入り口に到着してびっくりですわ。自転車をとめるのに200円かかるんです。車やバイクに駐車料金かかるのはわかりますけど、自転車でっせ。ちゃんとした駐輪場があるのなら納得もしますが、道路脇にコーンで囲いを作って置いておくだけで料金を取るいうのはどやねんと思いますわ。入城料がタダやから見学に来たのに、駐輪代に200円も取られるのはどうもしっくりきません。知ってたら自転車乗らずに歩いてきたのに。
係りのお兄さんも申し訳なさそうにこんな提案をしはりました。
「これが領収書です。このチケットでここに書いてある市内の駐輪場が無料でご利用いただけますので、またご利用ください。」
なるほど、ここ1ヶ所で200円は取るのはあんまりやと言う印象があるんで、「4ヶ所で200円ですねん」と言いたいんでしょうなあ。それでこう聞きました。
「このチケットはいつまで使えるんですか?」
「これは本日限りです」
観光客やないんやから、こんなもん使えますかいな。観光客であっても、この4ヶ所を自転車で1日で全部まわるということはないでしょう。せめて2日間くらい使えるようにせんと。まあぼやいても仕方ありませんので、自転車を置いてお城に向かいます。
外国人には人気ですね。チケット売り場には何人かの外国人が並んではりましたが、私はチケットを買わずに、これを財布から取り出して直接改札口に行きました。
「これが目にはいらんかぁ」
そんな風に言わんばかり、黄門さんの印籠みたいにして改札口のスタッフの女性に出しました。スタッフは満面の笑顔で「どうぞぉー。そのままお入りくださーい。」と言って通してくれました。VIPになった感じで、何とも気持ちいいもんですなあ。
これが東大手門です。一般の観光客はここから入ります。
さて、中に入りました。工事中の「唐門」をくぐりますと二の丸御殿です。二条城のコンポーネントのうち、建物の中を見学できるのは二の丸御殿だけです。本丸御殿は既に焼失されて現在はありません。
二の丸御殿は当時のいわゆる仕事場というかオフィスですな。ここで将軍さんや老中さんなどの偉いさんが重要な会議をしたり、あるいは各地のいろんな大名を迎えたり、朝廷の使者と面会したりしたわけです。あの1867年の大政奉還の舞台もまさにここ二の丸御殿です。
これが二の丸御殿の入り口。靴を脱いで中に入ります。
残念ながら御殿の中は写真撮影はもちろんスケッチも禁止ですので、画像はありません。是非京都に観光でお越しの際はお立ち寄りいただき、生で見てください。有名な狩野探幽の襖絵を見ることができます。一番びっくりしたのは欄間ですなあ。1枚板の見事な彫刻は
感動ものでした。
さて二の丸御殿を出ますと、その周りにある立派なお庭を見ることができます。いわゆる「二の丸庭園」です。これは京都検定で勉強しました。小堀遠州が監修して作った庭園として暗記させられました。(させられました言うのも変ですがね)若いころはこんな庭園を見ても「ああきれいやなあ」としか思わなかったんですが、私も歳をとったんですなあ。この庭を1つ見るのにも、いろんな角度から見て楽しめるようになりました。
全て同じお庭です。撮影する方向というか角度を変えただけですが、それぞれに違った表情を見ることができます。まことに面白いものです。
これは蘇鉄だそうです。小堀さんも斬新なデザインを考えたもんですなあ。ちなみにネットで画像を暖かい時期の二の丸庭園の画像を探してみたものを貼り付けます。こんなんです。
この蘇鉄を冬場の寒さから守るために、わらを巻きつけてこのようなおもしろい形にしてあるんです。「蘇鉄養生」と言って、逆にこれが二条城の冬の風物詩になってます。もう65年も続いている方法らしいです。
次に本丸御殿へ通じる橋をわたり、反対側から抜けますと、本日のお目当ての梅林があります。ご存じかも知れませんが、二条城には四季を通じてたくさんの花木があるんです。
1月は椿、2月は梅、3月は桜というように毎月いろんな季節の花木が楽しめます。もちろん秋の紅葉もすばらしいですが、特に有名なのはこれからの季節の梅と桜ですわ。
で、梅林に来てみてびっくり。こんなんでした。
「ちらほら咲き」って新聞に書いてあったので来たわけですが、これって「ちらほら咲き」ですか?近寄って撮影しますが、どう考えても「つぼみふくらむ」やないですか。
たくさんある梅の木を探しますと、確かにありました。1つの枝に花が開きかけてるのが7~8個ついてる木もありました。
「ちらほら」やと言われたらそうかも知れませんが、見ごろはあと1週間後かも知れませんね。もちろん桜の方は全く気配もありません。でもこれが春が来て満開になると、まことにきれいなんです。
さて、そろそろ帰ることに。お堀の周りをのんびりとぷらぷら歩きます。もう少し暖かかったらなおいいのでしょうが、やかましい観光客がほとんどいないので、のんびりできて気持ちいいです。
出口です。こんな看板があることは、実はもともと知ってました。
二条城のメンテナンスのために募金してくださいということを「一口城主になりませんか」という語りかけでお願いしてるんですわ。こんな新聞記事も出されてます。
一口城主になった人は、抽選で5月に1日だけ本当の城主になることができるらしいんです。さらにはこんな掲示板もありました。
メンバーシップのゴルフ場のハンデキャップみたいですなあ。掲示板に一口城主の名前が刻まれるんですわ。一番上が特別な人、その次に100万円以上の寄付の人、その下が10万円以上の寄付の人ですわ。10万円を寄付すればここに名前を載せてくれるいうことはわかりますが、10万円の寄付はちょっと厳しいですわ。2万円くらいのプランがあるんやったら世界遺産の国宝の維持管理に協力してもええなあ、ひとつ間違って抽選でも当たって5月に1日城主の権利をゲットできんかなあと考えとりました。それでインフォメーションにいてはるスタッフの女性に質問しました。
「これ、一口城主って受付てはるんですね。これって、1口いくらからできますのん?」
こう質問しますと女性がこう答えます。
「基本的には1円からお受付しておりますが、1000円以上ご寄付いただきますとオリジナルステッカーをプレゼントしてます」
なるほど。で、こう質問しました。
「あこに1口城主になった人の掲示板おまっしゃろ?10万円以上の寄付の人はあこに名前だしてもらえるみたいですけど、名前出してもらえるプランでもう少しお手ごろなんはおませんのん?」
「すいません。あれは10万円からになりましてー」
「それは残念ですなあ。10万円はちょっときついですわ。ではあの抽選で1日城主になる権利の1口はなんぼからですのん?」
文化財保存のために協力する気持ちはありますから、抽選とは言え1000円とか2000円で「一日城主」になる夢を買えるんなら、寄付してもええかなあちゅう気持ちはあったんでこう聞きました。すると女性は
「ああー、申し訳ございません。あれは1口100万円からになりますぅー」
吉本新喜劇みたいにドテッとこけるところでしたわ。抽選に参加するだけで100万円もいるんですか。それならあんなところに新聞記事の切り抜きを貼りださなくてもええのにねえ。一般でこられる人が「ほぃ」と100万円出さはるんやろか。
まあ二条城に無料で入る権利は3月末までありますので、梅や桜が咲いたらまた訪問してみようと思うてます。