ここ数日のテレビや新聞などのニュース、インターネットの記事は民主党の代表選の話が大きく取り上げられてます。わが国で一番えらい人を決める選挙ですので非常に重要なはずですが、なんか我々の手の届かんところで勝手に決まって行くもんですから、関心を持ってwatchしないといけないと思いつつもあまり興味がわきません。私も含めて日本人みんな平和ボケしてるんでしょうなあ。とりあえず野田はんが民主党3人目の総理大臣に就任されました。誰がなってもええけど、大変な国難の時期だけにしっかりやってもらわんと困りまっせ。たのんますわ。
そんな代表選について大きく報道されている中、昨日の記事の中で私の心を大きく捉えたニュースがありますねん。そうです。「サントリーのはちみつレモンが復活」という記事です。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110830/biz11083016360023-n1.htm
若い年代の人は「はちみつレモン」をご存知ないかも知れませんなあ。私が高校生のころにサントリーから発売になった清涼飲料水で、当時としては画期的な飲み物だったのを覚えてますわ。、当時の清涼飲料水(コーヒー系を除く)はコカ・コーラの独壇場でした。京都はそうでもなかったように思いますが、少し地方の都市や旅館とかへ行くと、清涼飲料水=コーラ、ファンタ、アクエリアスでした。コーラ以外の会社の製品で比較的有名だったのはキリンのキリンレモン、大塚製薬のポカリスエットくらいです。ああそうそう三矢サイダーも人気でしたね。サッポロとかポッカとかサンガリヤのようなマイナーなメーカーからはレモネードとかミックスジュースのように変わった商品はいくつもあったと思いますが、これといってヒットした商品はありませんでしたわ。そんな中で非炭酸系の飲料水「はちみつレモン」の登場は衝撃的です。従来のレモン水とかレモネードは砂糖の甘みが強く、後味に問題があったのですが、はちみつの上品な甘さによってスッキリ感が出てるんです。はちみつとレモン。誰でも思いつくような組み合わせですが新鮮でしたわ。これが登場して以降にさまざまな種類の飲料水の開発が始まったんではないでしょうか?今ではコンビニのショーケースには数えられないくらいの種類の飲料水が並んでいますが、1980年以前は数えるほどしか種類がなかったんですよ。(もちろんコンビニ自体もそれほど存在しませんでしたが。。)
はちみつレモンの思い出と言いますと、ちょうど大学1回生の秋の学園祭です。11月祭が正式名称で通称NFと言います。大学のクラスでNFに模擬店を出展することになりまして、その店長をつとめさせていただくことになったんですわ。何の店を出すか、メンバーのみんなといろいろディスカッションしまして、結局「たこ焼き」&「焼肉」という一見変わった組み合わせのメニューを扱う店を出すことになったんですわ。変わってるように思いますが、どっちもガスと鉄板を使う料理という意味で同じだったんです。焼肉はメンバーの1人の知り合いにお肉屋さんがいて、少し安く仕入れることができたのと、何ってたって既に味がついてる肉を鉄板で焼くだけという手軽さが理由でしたわ。
たこ焼き 1皿(8個)300円
焼肉 1皿 400円
アサヒスーパードライ(350ml) 1缶 350円
キリンレモン カップ1杯 150円
ウーロン茶 カップ1杯 150円
というメニューで準備しました。ビールは買ってきた缶ビールを氷水で冷やしてそのままマージン乗せて売るだけ。キリンレモンとウーロン茶は2リットルのペットボトルで買ったものをプラスチックのコップに入れて売るだけ、これで150円は正直ぼったくりですわなあ。たこ焼きと焼肉と言えば普通はみんなビールが欲しくなるだろう、どうしてもソフトドリンクという人のためだけにキリンレモンとウーロン茶を一応置いておこうというくらいの気持ちで、ソフトドリンクは正直あまり売る気はありませんでした。また加えてNFの会場の門を出たらすぐコカコーラの自動販売機があって、350ml缶が当時100円で買える環境にあったんです。そりゃカップ1杯150円もするこんなソフトドリンクは誰も買わないだろうと思ってました。
さあ営業を始めてみると、なんと焼肉が想定外に売れるんですわ。あれ、やっぱり匂いが客を誘うんでしょうかね。たこ焼きやお好み焼きや焼きそばの店は他にもたくさんあるけど、焼肉をやってる店が他になかったっちゅうのもあります。そして焼肉を買った人がついでにたこ焼きも買うから不思議です。
もっと不思議なのはドリンクです。11月末ということもあって多少寒いせいもありましたが、缶ビールが全く売れません。確かに350円は学園祭としては割高感があったかも知れません。でもどう考えてももっと割高感のあるウーロン茶とキリンレモンがよく売れるんですから割高感が理由じゃないのでしょう。売れないと思ってたもんが売れるから当然用意していた在庫がすぐなくなります。
お昼を前にドリンクの仕入れに走りました。仕入れっちゅうても自転車で5分ほどの近くのスーパーです。コップ1杯150円というぼったくりみたいな値段でもソフトドリンクが売れるんなら、利益率も圧倒的に高いしもっと種類を増やそうと、ウーロン茶とキリンレモンに加えて、バヤリースのオレンジジュースとサントリーのはちみつレモンの計4種類を4リットルずつ買いましたわ。はちみつレモンを入れたのは単に自分の好みです。当時2リットルペットボトルが1本350円くらいしましたが、それでも全部で3000円ほど。これでコップ80杯以上は取れるんで全部売れれば12000円の売り上げになります。
午後からメニューにオレンジジュースとはちみつレモンを追加しました。ついでに日本酒も用意しました。ビールが寒くて売れない、じゃあ熱燗なら売れるんではないかと考えたんですなあ。こちらはコップ1杯だいたい1合をビールと同じ値段の350円で販売しました。
するとまた不思議な現象が。今度はドリンクの注文のほとんどが日本酒とはちみつレモンに集中します。ウーロン茶やキリンレモンが売れません。オレンンジジュースはもとから売れません。1時間もしないうちにはちみつレモンと日本酒の追加の仕入れに行きます。それでもこの2つのドリンクは夕方の閉店時刻近くまで売れつづけ、なくなりそうになればスーパーに何度も走りました。理由がようわかりません。焼肉やたこ焼きと合うからなのか?後日みんなで検証しましたが、はちみつレモンが売れるメカニズムが解明されませんでしたわ。今だに謎です。
焼肉は予想以上の人気で14時ごろに早々に計画通りの利益を確保して売り切れました。さすがにたこ焼きは競合他店が14時ごろから値下げ競争に踏み切ったため、値下げ合戦に応じる形になってしまい、15時すぎには1皿100円まで値崩れしました。最終的に全部売り切りましたが、利益はほとんど確保できませんでした。でもわが店は日本酒とはちみつレモンだけで全体としては全く想定外の大きな利益をあげる結果になったんです。はっきり覚えてませんが、最後に決算するとだいたい4万円くらい純利益があったと思います。その夜メンバー9人全員での打ち上げに全部使いました。はちみつレモンにはそんな思い出がありますわ。
そんな懐かしい楽しい思い出のはちみつレモン。1999年に販売中止になってたんですね。いろんなドリンクが出てきて多様化する中で発売当初のインパクトがなくなっていったんでしょう。販売中止になってたことすら知りませんでした。来月10月4日に復活するそうなので今から楽しみです。