3月も今週で終わりです。今年は3月になってもなかなか暖かくならず、朝晩はまだ暖房器具のお世話にならないといけない状況ですが、日中に関してはこの1週間でかなり春らしくなってきました。
桜の開花も例年より遅いみたいですなあ。梅は先週の土曜日の段階で満開ですが、桜はまだまだって感じです。京都新聞にも「梅だより」のコーナーはあるのですが、「桜だより」はまだコーナーすらできてません。昨日、たまたま通りかかった時に撮影した京都御所の桜の写真、こんな感じです。
遠くから見るとうっすらとピンク色が感じられる木もありましたが、ほとんどはまだ「蕾堅し」ってところでしょうか。
さて、春と言いますと「卒業」のシーズンです。4月から新年度ということで生活がゴロっと変わる人も多いでしょうね。先週くらいから京都市内も引っ越しの業者のトラックがあちこちのマンションの前に止まってるのを見ました。高校を卒業して新しく大学生活を始める人、大学を卒業して新社会人として生活を始める人。「卒業」と言いますと、一般的にはそんな夢と希望と期待と不安がごちゃごちゃになった何とも言えない心理状況の中で、今までの生活を一旦リセットして4月を迎えるという、まあそんなイメージだったではないでしょうか。
つい先日、たしか3月12日だったと思いますが、たまたま会社で仕事をしてますと、私あてに電話がかかって来たんですわ。新潟県のまあちょっと田舎の方にある病院のある先生だったんですが、その先生とは15年ほど前ですかね、大阪で知り合ってちょいちょい飲みに行ったりした関係なんですが、ここ10年以上も全く連絡を取ってなかったんです。もちろんちゃんと記憶にはありましたが、突然電話をいただいたもんで、何かいなあと驚いたんですが、話を聞いてみますと、
「実はこの春に息子が高校を卒業して、4月から関西学院に行くことになったんやけど、関西こと知ってる知り合いがおらず、まずはどこに住まいを決めていいか検討もつかないんで、アドバイス欲しいんですわあ。」
こんな関西弁は使わはりませんでしたが、内容はこういうことです。高校卒業したばかりの息子、非常におとなしい性格とのこともあるんでしょう。関西での初めての一人暮らし、親としては心配なんでしょうなあ。住んではいけないところの情報、現場の意見を仕入れたかったんでしょうね。10年以上も連絡を取れてない私なんかに電話をしてきはりました。私としては非常にうれしかったですわ。息子が入学してしばらくしておちついたら、息子も入れて一緒に京都で食事することになりました。人のつながりって不思議なもんですし、また大切なもんですなあ。
若い世代の人にとっての「卒業」は、今から期待と不安の中で何かが始まるという、まあ未来志向、前向き、そんなイメージが強いですが、40歳も越えておっさんになってくると「卒業」という言葉はちょっと違ったイメージになります。「これから何かが始まる」という前向きのイメージよりは、どちらかと言えば「これで終わりになる」という感覚の方が一般的ですなあ。「卒業」という言葉は「終止符を打つ」とか「リタイアする」というニュアンスに近くなります。「定年を迎えて会社生活を卒業する」とか「病気をきっかけにタバコを卒業する」。こんな感じで使われます。今までの生活に終止符を打つのはいいのですが、その後のビジョンがたいていの場合ないので、何となく「卒業」という言葉は寂しく聞こえてしまいます。
何を隠そう、私自身もこの3月いっぱいで約10年間やってきた仕事を「卒業」することになってます。「なってます」言うのはまだひっくり返る可能性がゼロではないんですわ。来週月曜日からの身分がまだ決まってないって、うちの会社は良くも悪くもルーズやなあと思います。
私自身の生活も大きく変わることになりそうですわ。5月からは、生まれて初めての「通勤」っちゅうもんをしないといけなくなります。首都圏やないんで、耐えがたいレベルの通勤ラッシュはないんですが、それでも朝は京都から大阪まで毎日決まった電車に乗らないといけません。これから始まる往復で2時間の「通勤」の中に、「不安」の方はありますが「期待」の方はあるんでしょうかね。何か前向きに始めることを考えないといけませんわ。
そして今「卒業」と言えばこれですわ。
今週ある営業所で仕事をしてますと、そこの営業所の若いもん4人が例によって声をかけてくれました。
「今からお昼行きますけど、一緒にどうですかあ」
そう言うんで一緒に行ったんですわ。入社3年目から6年目くらいの連中なんですが、おっさんの私にもいつも気軽にランチに声かけてくれます。うれしいもんですわ。
で、この日も一緒に行って店に入り、テーブルについて注文を済ますと、まず4年目の女の子が3年目の男の子にこんな風に語りかけて2人の会話が始まりましたわ。
「あっちゃん、卒業やねえ。これからどうするのん?」
「さあ、そんなに目立つタイプじゃないし、これからうまくやっていけるかどうか。」
こんな感じで会話がどんどん続きます。最初は状況がわかりませんでした。その男の子はまだ独身でもちろん子供がいないから、もしかしたら「アツシ君」とか言う名前の弟がいて、その人がこの春に大学なり高校なりを卒業したんかなあと想像して聞いてましたんですわ。
そういう勝手な想像のもとで会話を聞いていたんですが、話に全く違和感がなく、あまりにもきれいに展開していくので、今の若いもんはみんな家族ぐるみの付き合いをしてるんやあとか、コイツまだ3年目で若いのに、まるで親のように弟の将来のことも一緒悩んで考えてあげるやなんてすごいなあって思って、感心しておりました。お若い方は最初からお気づきなんやろうと思いますが、おっさんはなかなか気がつきませんでしたわ。
「あっちゃん」はAKBの前田敦子さんのことやったんですわ。この前のコンサートでAKBを「卒業」しますって発表したことが、今週のスポーツ紙に大々的に書かれてます。今週若い人の間での「卒業」は、説明なしにAKBと直でリンクしてるんですね。
さあ、前田のあっちゃんの「卒業」は、夢と希望に満ちた前向きなものなんでしょうか、それともAKBの主役としてのプレッシャーから逃げたくて終止符を打ったものでしょうか。
おっさんと違ってまだ20歳ですから、これからきっと新しいことにチャレンジしていくんでしょうね。私は決してファンというわけではありませんが、今回の彼女の勇気ある決断には拍手を送りたいですわ。AKB専門家であるその3年目の男の子が言うには、前田さんは女優としての演技力がいまいちだそうですが、困難を乗り越え今後活躍することを期待しとります。