もう20年以上会社勤めをしておりますと子供の頃の「夏休み」という感覚を忘れてしまってますが、世間は既に「夏休み」に突入してるみたいです。いつもは余裕で座れる電車が座れなかったりすることで、「ああ、夏休みやったんやあ」って気づきます。仕事をする大人には夏休みというものはお盆の期間の3~4日くらいしかありません。あとは勝手に有給休暇というもんを土日にくっつけて、ちょいと長めの休みにして旅行へ行くというのが大人の夏休みのイメージでしょうか。海外では子供の夏休みみたいに1ヶ月ほど休みを取るのが当たり前みたいなところもあると聞きましたが、日本ではそういう会社はまだまだ少ないでしょう。うちの会社では、ありがたいことに有給休暇というものが使いきれないくらい支給されてます。正確な数字は忘れましたけど1年あたり26日やったかな。ですので、土日とあわせてこれを全部使えば、子供の頃と同じように1ヶ月以上の夏休みを作ることができます。でも休む権利があってもそれをなかなか行使できないのが現実です。特に連続して休むとなると相当な仕事の調整・準備をしないといけません。
私の場合、諸般の事情があってこの4月以降は仕事がほとんどない状況が続いてるものですから、比較的有給休暇の権利を行使しやすい環境にあります。1ヶ月まとめてというのはちょいと大変ですが、1日くらいならだいたいの日は休めるんです。先週の金曜日もその有給休暇を使わせていただいとります。目的は福岡のヤフオクドームで開催される「鷹の祭典」に参加するためです。
福岡のお友達から先月いただいたプロ野球の観戦チケットなんですが、実はこれ、非常に貴重なチケットなんです。
この7月25日のゲームは通常のゲームとは違うんですって。ソフトバンクホークスでは年に何回か「鷹の祭典」と称して、野球を盛り上げるイベントみたいなものを街ぐるみでやってるそうなんです。阪神タイガースしか知らない私にはどんなもんかイメージできません。そして何よりこのチケットの座席。「みずほプレミアムシート」と言われるバックネット裏の特等席だそうです。私にとっては初めてのドーム球場。いままで甲子園と横浜スタジアムとわかさスタジアムしか行ったことがありません。そんなわけでスケジュールを上手に調整して、有給休暇をとって午後から博多に向かったんです。
15時前に博多駅到着。博多駅は仕事でも何度も来てるので、それなりによく知ってるんですが、この日が雰囲気が違います。JRの駅員さん。みんなホークスのユニフォームを着て仕事してはります。
改札だけではありませんよ。みどりの窓口も全部です。後で聞いたんですが、鷹の祭典ではユニフォームの色が毎年違うそうな。今年の色は赤だそうな。この赤は「カチドキレッド」と呼ばれてます。
JRの駅員さんだけではありません。キヨスクのスタッフもカチドキレッド。
博多駅からヤフオクドームまでバスを利用しますが、西鉄バスの運転手さんもカチドキレッドです。
街全体が協力してホークスを盛り上げようとしてるのがよう伝わってきます。バスに乗ること40分。ドーム前というバス停でおりまして歩くようですが、これがむちゃくちゃ暑い。滝のように流れる汗というのはこのことですな。
せっかくなんでホークスのTシャツでも買うて着替えようかなと思うたんですが、ドームに到着しますと、なんとユニフォームが無料で配られてるんです。これも鷹の祭典だけの企画だそうです。
そんな高級感はありませんが、これでも買うと数千円するんと違いますかね。チケット見せるとこれをいただけました。
球場にはもちろんホークスグッズがいっぱい売ってます。応援のルールがどうなってんのかようわからんので、何を買ったらええんか判断できません。ただどうやら阪神タイガースと一緒で7回の裏にジェット風船を飛ばすイベントがあるらしいので、これは買っておいたほうがよいと判断。
阪神タイガースと違って、色が決まってるみたいですな。鷹の祭典のこの日は2色あって、1つはカチドキレッド、もう1つは白星ホワイト。写真をよう見てもらったらわかりますが、赤い方には「7回時専用」、白い方には「試合終了時専用」って書いてます。それ以外の色の風船は売ってません。「専用」ということは他に転用したらアカンっちゅうことですな。でも1袋4つも入ってるものを2袋買うのはどうかと思って店員さんに聞きました。
「すんません。これ、それぞれ専用って書いてますけど、赤と白の2種類買わんといかんっちゅうことですわな。これ赤白がセットになったもん置いてはらへんのん?」
店員さんは何かようわからんことをしばらくもにゃもにゃ言うてはりましたが、結局ないとのこと。別に文句を言うてるわけではないし、「1本単位で売れ」みたいな不当な要求をしてるわけでもなくて、赤白セットにしたものがあるのかないのかの質問してるだけなんでが、私の関西弁にビックリしはったんかな。ごちゃごちゃ言わずに結論だけ先に言うてもろたらそれでええのに。結局、赤だけを買いました。
試合開始まではまだ1時間以上あります。いただいたチケットには「王貞治ベースボールミュージアム」の無料入場券がついてました。せっかくなんでタダなら入ることに。
エスカレーターで上に上がります。
このミュージアムは当たり前ですが球場の中にあるんですね。というのはミュージアムの中からこうやってゲームが見れるんです。バックスクリーン裏です。ちょうど対戦相手のオリックスの練習中。
王さんは東京の墨田区の中華料理屋「五十番」の息子として生まれたそうです。当時の建物が再現されてました。
この中に展示がいっぱいしてあります。巨人入団時のユニフォームにはじまり、数々の賞が置いてありました。
王さんが選手としていかに凄かったかということを示す展示内容でしたが、残念ながら監督としての話はあんまりありませんでしたわ。
それよりも面白かったのは体験コーナー。
プロ投手の投げる球を体感できる装置。透明プラスチックで囲われたところに立たせてもらって、写真ではちょいと見にくいんですが、ホークスの攝津投手の映像のピッチングのタイミングで140kmの球が飛んでくるんです。プラスチックで囲われているとは言えすごい迫力です。
これは牽制球の体験。写真の左側にモニターがあって、ピッチャーがセットアップからこっちに向いて牽制球を投げようとした瞬間にファーストベースに帰塁する体験です。
実際にアウトかセーフかの判定もあります。他にもバットスイングの速度を測ったり、スピードガンでピッチングの球速を測定したりするコーナーもあります。
さて王貞治ベースボールミュージアムを出まして、ペットボトルのお茶を買おうとファミマに入りますとこんな状態です。
ヤフオクドームは食べ物の持込は禁止のはずなんですが、みなさんお弁当やお茶をたくさん買い込みます。お茶1本を持ってレジに到達するまで20分かかりました。そしていよいよドームの中に入ります。3番ゲートの手前、これはどうやら喫煙スペースのようです。
球場内は完全に禁煙なんでしょうな。たばこを吸う人はこうやって外に出てこの限られたスペースで喫煙しないといけないようです。私は大の嫌煙家ですが、これはなんぼなんでも喫煙者がかわいそうな気がします。鳥かごに入れられてるみたい。少し離れた場所でもいいからちゃんと喫煙ルームを作ってあげて欲しいものです。
ヤフオクドームでも入り口で手荷物検査があります。リュックを持ってますので、「どうぞ調べておくれやす」って言うて差し出したら、検査スタッフは中身を見ようとしないんですね。リュックに触ろうともせずにこう言います。
「中に火炎瓶は入ってませんか?」
火炎瓶?びっくりして思わず聞きなおしました。
「火炎瓶なんか持ち込む人っていますのん?」
「火炎瓶」はどうやら聞き違えで「缶や瓶」って言うてはりました。もちろん「ありません」って言いましたが、中を確認しないんですね。これやったらウソついてもわかりませんやん。
人生で初めてのドーム球場。バックネット裏の特等席からの眺めはこんな感じ。
鷹の祭典ですので、みなさん配布されたユニフォームを着てスタンドは真っ赤です。
ちなみにオリックスのファンの応援席はレフトスタンドのごく一部だけ。写真の黄色い枠の部分だけです。
試合開始前に国歌斉唱があります。選手はもちろんお客さんも起立させられます。アナウンスがこう言います。
「みなさんご起立いただき、正面の国旗にご注目ください。」
どこに日の丸があるんかいなあと探しましたが、どこにも見当たりません。でも君が代が流れ始めて気がつきました。ここに日の丸があがるんです。
こういう国旗掲揚のやり方もあるんですね。
試合はソフトバンク攝津、オリックス西の投げあいで始まります。バックネット裏の至近距離からの観戦は迫力あります。ピッチャーの投げた球がキャッチャーミットに入る音が伝わってきます。
2回を終えたところで、ドリンク無料券を使って生ビールを1杯いただきます。みずほさんのご提供なんでしょうね。
7回裏のホークスのラッキーセブンの攻撃前には阪神と同様にジェット風船が飛ばされます。ただ阪神の場合と違って、飛ばすまでの前置きが長い。ホークスの応援歌を丸々1曲歌わないと飛ばさせてくれません。でも阪神みたいにフライングして飛ばしてしまうお客は1人もいませんでした。
この日、ホークスは無事に勝ちました。抑えのサファテが9回表に3つ目のアウトを取りますと、もう一度ジェット風船が飛ばされます。ここでは白星の白い風船を使うルールになってたはずですが、7回時専用の赤い風船を使ってる人が半分くらいいてはります。私もその1人ですが。
試合後のヒーローインタビューは今宮選手。この日3安打の活躍をしました。
阪神タイガースの場合はここで六甲おろしを歌って終わりですが、鷹の祭典のこの日はここから「光のドーム伝説」というイベントが続きます。これがなかなか素晴らしかった。こうやって徐々に照明が落とされます。
そして音楽とともに光のアートが繰り広げられます。
シメは花火。ドームでどうやって花火って思いましたが、屋根の一部が開かれて、そこに花火が打ち上げられるんです。
全てが終わってお客さんが帰り始めたのは22時過ぎ。これだけのお客さんをどうやって帰すのかと思いましたが、西鉄バスさんが球場から博多駅行きと天神行きのシャトルバスをじゃんじゃん運行させてました。写真には取り忘れたんですが、遠く久留米や小倉や門司へのバスも出てました。えらい遠いところからお客さんが応援に来はるもんです。多くのファンから愛されてるチームやというのがようわかります。また球団の方も多くのファンに応えるサービスを一生懸命やってるのがよう感じられました。今回はご招待いただいたので正規にチケットを購入するといくらかかるのかようわかりませんが、非常に満足度の高い内容だったと思います。黙っててもお客さんがいっぱいになる甲子園球場。阪神タイガースにはホークスを見習ってもうちょっとファンサービスを考えてもらいたいものです。