今日はこの前の週末に我が家にやってきた電気自動車のお話です。
新車で車を買う時って、ディーラーさんが家まで持ってくるのが一般的なんですかね。私は新車を買うのは今回で6台目になるんですが、一度も持ってきてもらったことがありません。車を買うときの見積書見たら「納車費用」って項目があるでしょ。これ1万円くらいするんですよ。遠いところから運んでもらうのならともかく、自宅からほんの数キロのところですよ。そりゃわざわざディーラーさんに持ってきてもらわなくても、こちらから取りに行かせてもらいます、ついてはこの1万円消しといてーって言うてます。今回も納車してもらうんではなく、こちらから丁重にお迎えにあがりました。
車屋さんの場所は自宅から南へだいたい7km弱のところ。自宅からだとバスを2本乗り継がないといけないところです。それならちょうどええ運動になるっちゅうことで、7kmを走って行くことに。基本的にずっと緩い下り坂ですが、信号がたくさんあるんでそんなに速く走れません。45分ほど走りましてお店に到着。例の新人さんがびっくりして出てこられました。
「お待ちしておりました。どうぞこちらへー」
テーブルに案内されて、アイスコーヒが出されます。お金は既に銀行振り込みで支払いしてますので、私としては補助金申請に必要な書類にハンコをポンポンポンと押して、さっさと車を連れて帰るつもりでおったんですが、そうすんなりとはいかなかったんです。
まず、補助金申請の書類への記入捺印を要求されました。書類に記入すべき事項で新人さんが書けるところは全部書いてくれてましたので、私は補助金を振り込む銀行の口座番号を書いてハンコをポンと押すだけです。キャッシュカードを取り出して口座番号をさっさと記入しました。新人さんはこう言います。
「ありがとうございます。あとこの銀行口座の通帳コピーが必要です。今日は通帳をお持ちですか?」
私は「通帳はないですよ」と答えますと、
「通帳のコピーがないと申請が受け付けられませんので、また今度持ってきてもらってよろしいでしょうか?」
こう言います。これは私の言い方が悪かった。本日たまたま通帳を持ってきてないというのではなく、この銀行口座にはそもそも通帳が存在しないということを理解してもらわないといけませんでした。
「ネット銀行なんで、通帳っちゅうもんはないんですけど。このキャッシュカードのコピーやったらあきませんのん?」
そう言いますと、ちょっと上司に確認してくる言うて行ってしまいました。そして戻ってきますと
「通帳のない口座はダメみたいです。他に銀行口座ありませんか?ゆうちょ銀行でしたら大丈夫なのですが。」
国が決めたことをこの新人さんに言うても仕方ないのはわかってるんですが、どう切り返してくるか興味あったんで、面白半分に聞いてやりました。
「そんなん、誰が決めたん?通帳がない銀行が取り扱えない理由って何ですのん?」
ちょっと新人には難しかったですかね。「そう言われましてもぉー。」言うて固まってしまいましたわ。
こういうところにもきっとまた何かようわからん利権とか癒着の構造があるんでしょうなあ。仕方ないんで三菱東京UFJ銀行の口座に振り込んでもらうことにしました。通帳は自宅に帰ってからコピーをとってFAXすると言いますと、その新人さんは、
「では、新しい用紙を用意しますので、少々お待ち下さい・・」
こう言いまして店舗の奥に入って行きました。
ところがこれがまた、行ったまま10分しても戻ってこないんですわ。昼から電気屋さんが来るんで、ちゃっちゃと必要な書類にハンコを押して、車連れて帰ろうと思うてるのに。
たまりかねてたまたま通りかかったその新人さんの上司の人に
「すんません。彼、奥に書類取りに行ったまま帰ってこないんですけど、呼んでもらえませんか」
こう言いました。すると上司の人、すっとんで行かはりまして、すぐに彼を連れてきました。どうやら書類の必要事項、銀行口座以外の部分を一生懸命に記入してたそうです。何回か書き損じをして、書き直しをしたため10分以上もかかったそうです。
「お待たせしましたー。ではここにUFJの銀行口座を記入いただき、ハンコをお願いします。」
でも、UFJ銀行の口座番号は今ここではわからないんです。家に帰って通帳をFAXするって言うてんのやから、それから口座番号も含めて必要事項を全部書いてくれたらええのにと思いますね。口座番号わからん以上はもうどうしようもないので
「ここ、ハンコだけ押しておきますんで、後で送るFAXを見て口座番号を書いといてもらえますか?」
彼にこうお願いしまして、補助金申請の件はやっと終了です。これだけで20分以上かかってます。
次に彼は車の受領書にハンコを押して欲しいと言います。
「これって、私が車をちゃんと受け取りましたでぇっちゅう書類やな。了解了解。これで必要なところ押しといてー」
時間もなくて面倒なんで彼にハンコ渡して、必要なとこ全部ハンコ押してって頼みましたら、これまた簡単にはいかないんです。
「こちら車の状態について確認いただいてからハンコをいただきたいんです。お車の方にご案内しますので、こちらへどうぞ。」
まあ最初から車にキズがあったとかヘコんでたとか後から言われたらかなわんいうことで、事前に確認させよるんでしょうなあ。とうとう店の外に連れ出されそうになったんで、
「他になんかハンコを押す書類ないか?あるんやったらここでそれを先にしまひょ。」
と提案しました。あっち行ったりこっち行ったりと段取りが悪いのが一番嫌いです。
街中の充電設備の利用するためのカードの申し込み書とか、定期点検のサービスを受けるための会員登録とかがありました。まあ初めての契約で慣れてないから仕方ないんでしょうが、私にとって必要ないことでも1つ1つ丁寧に説明されます。
ポポポポーンとハンコを押して、受領書以外の書類をすませますと、ようやく我が家にやってくる車と面会できました。一通りぐるっと回ってキズやヘコミのないことを確認して最後の書類、受領書にハンコを押します。いよいよ電気自動車を連れて帰ることができます。店に来てから既に45分もたってます。
軽自動車なんですが、こいつ結構大きいんですね。写真ではわかにくいかも知れませんが、運転しますと上から見下ろす感じの景色になります。
運転の感じは普通のガソリン車と同じです。違う点は圧倒的に静かやっちゅうこと。走行中はそんなに違いを感じないんですが、信号とかで止まるとはっきり違いがわかります。全くと言っていいほど音がしません。電気自動車はアイドリングってしないんですかね。
これが運転席の計器です。
真ん中のデジタルの数字がスピードメーターなんですが、その周りに針がありますでしょ。これが瞬間の消費電力を示すメーターです。これの左端に「Charge」ってところがありますでしょ。プリウスみたいなハイブリッドカーも同じやと思いますが、この電気自動車はアクセルを放すと、車の運動エネルギーを回収して充電しよるんです。そのため思った以上に車は減速します。これがなかなか慣れません。
これがシフトレバー。
普通のオートマの車とほぼ同じなんですが、ガソリン車ではエンジンブレーキをかける時に入れる「2」とか「L」とかの表示が「Eco」と「B」になってます。まあ機能的にはほぼ同じなんですが、「Eco」に入れますと、アクセルベダルを放したときに運動エネルギーをよりたくさん回収して充電してくれます。「B」はブレーキの意味だと思うんですが、さらに急激に充電してくれまして車はブレーキペダルを踏むのと同じくらい減速しよります。
実際には空気抵抗とか路面の摩擦とかいろいろありますのでそうはいきませんが、大学入試の物理の問題みたいに「空気抵抗や路面の摩擦はないものとして考える」ってした場合、フットブレーキを全く使わずに、アクセルベダルとシフトレバーだけを使って運転すれば、理論上全くエネルギーを使わずに永遠に走行できるということですわね。フットブレーキを使わない運転心がければ、フル充電で走行可能な距離がもっと伸ばせるかも知れませんわ。
さて、家に帰りまして、言われたとおりUFJ銀行の通帳のコピーをFAXして、しばらくしますと電気屋さんが来てくれました。この電気屋さんって何を隠そう、うちの妹のだんなですわ。電気自動車を充電するのに200Vのコンセントを設置してもらわんといけないんです。
100Vから200Vに変換してもらうこの工事。業者によって安いところで3万円、高いところだと10万円くらいと聞いてましたんで、彼に「相場は3~10万円って聞いてるけど、なんぼでしてくれるぅ?」って聞いたら、「3万円でやります」って言うんで頼みましたわ。こんなもん値段あってないようなもんでしょうなあ。材料費になんぼ利益を上乗せするかで適当に値段を決めてるんやと思います。設置したコンセントがこれです。
ここに専用の充電器をつなぎました。
ほとんど電池は減ってませんが、試しに充電してみました。
200Vの電源で充電すると、空っぽの状態からだいたい7~8時間でフル充電できるそうです。こうなったら車も携帯電話と同じ感覚です。使って家に帰ってきたら充電器に差し込んでおくっちゅうパターンですわ。
現時点での電気自動車の欠点は、何といってもフル充電で走行できる距離の問題です。全国各地で急速充電器「チャデモ」がどんどん設置されていますが、電池の残量が少なくなってきたときにタイムリーに急速充電器を見つけられるかどうかが何よりの心配です。Webで充電器の場所を検索できるのですが、とりあえずはプリントアウトしたものを車屋さんに用意してもらい、車に積んでおくことにしてます。
街角の充電器で充電するのにどのくらいお金かかるんかなあと思って見てたんですが、これほとんどの設備でタダやてね。どうやら電気は許可なく勝手に売ったり買ったりしてはいけないことに法律でなってるみたいです。これもまた電力会社の利権の保護が目的なんとちゃいますか。一部の施設で1時間あたり数百円とってる充電設備もあるようですが、それは電気代としてではなく、駐車場代としてだそうです。タダっちゅうのはありがたいもんです。家で充電せずに外出先でタダで充電すれば、燃料代タダで車に乗れるということですわ。
フル充電でできるだけ長い距離を走行できるようにするため、この車には余計なもんはついてません。
例えば窓の開け閉めは手動です。パワーウインドウは電気を消費しますから。
最初はラジオもついてませんでしたが、旬の道路情報は欲しいのでラジオだけはつけてもらいました。もしろんCDやMD、カーナビなんかはつけてません。
さすがにエアコンは無いと辛いんでついてます。でもいたってシンプルなタイプ。温度調節と風量調節だけのもんです。荷物を入れるところもシンプル。
何のデコレーションもありません。でもかなりの量の荷物が積めます。チェロどころかティンパニーも2つくらい積めそうです。補助シートを床から引っ張り出しますと、一応4人乗りになります。
まあ見た目があんまり寂しいので、燃費を悪くしない程度にデコレーションしたろうと、夕方に四条にあるオートバックスに出かけようとした時ですわ。突然、家の電話がなりました。車屋さんの例の新人さんです。
「本日はありがとうございました。あのー、今日はこの後ご自宅にいらっしゃいますか。」
まあわざわざ御礼に来ようと思うとるのかいなあ、まあ彼にとって初めての契約がやったからうれしいんやろなあーって思ってたら何のことはない、
「先ほど銀行口座のFAXを送っていただいたんですが、実は・・」
御礼に来るんやないみたいですわ。わたしゃ言われた通りのページをFAXしましたで、まだ何か不備があるんかいなあ、ゆうちょ銀行やないとアカンって言うんかいなあと思いながら続きを聞きますと
「銀行の口座番号、私が書類に書き込む時にちょっとミスしましてぇ・・書き損なったんです。訂正印が必要なんですが、今からハンコもらいに行ってもいいですか?」
信じられない!新人とは言え、まあどんくさい奴ですわ。同じ書類、何回書き損じしたら気がすむねん。相性の悪い書類なんでしょうなあ。思わず笑ってしまいましたわ。2つ目の契約を取る前に、まず字を書く練習をしてもらわんとあきませんわ。